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企業価値評価 バリュエーション マッキンゼー・アンド・カンパニー ダイヤモンド社 2002/03/14 

第154回は、とても高度な内容を取り扱った本の紹介でした。「企業価値評価」というタイトルの本著は、正直にいいますと「難しかった」ですが、時にはこうした本にも接する必要があるでしょう。

No.155 ★★☆ 2002/10/27 Sun  企業価値評価 バリュエーション マッキンゼー・アンド・カンパニー ダイヤモンド社 2002/03/14

価値創造の理論と実践

久々に高度な内容の本に出会いました。正直申し上げますと、60%程度しか理解できませんでした。

本書は

<全米で100を超える大学がテキストとして採用>

しているそうです。英語で書かれたオリジナルテキストと日本語に翻訳されたテキストの違いはありますが、MBA取得を目指す人たちにはこの程度の内容は、ほとんど理解し、実践できなければならないのでしょう。

残念ながら、私にはそこに至るまでの能力はありませんでした。


しかし、それでも私なりに理解し、また私が重要と考える個所が多くありました。それらをこれからご紹介します。

この本を通じて一貫したテーマとなっているのは、「株主価値の創造」です。企業はだれのためにあるのかというコーポレート・ガバナンス(企業統治)を考えてみますと、欧米では株主(シェア・ホールダー)のためにあるということが共通認識になっています。

もちろん、欧米の企業の中にも日本の多くの企業のように株主だけではなく、従業員・取引先・周辺住民・社会等を含めた利害関係者(ステーク・ホールダー)のためにあるという考え方をする経営者が散見されます。

しかし、それらは例外といってよいでしょう。企業は出資者である株主のためにあると考えられます。そうなりますと、企業価値を高めなければ、機関投資家(株主の中で大きな影響力を持っています)から見放され、株式の大量売却により株価が下落し、企業価値がさらに低下するというビシャス・サイクル(悪循環)に陥ります。

株式時価総額という言葉をお聞きになったことがあると思います。株式時価総額というのは、終値に発行株式数をかけたもので、この数値が大きいということは市場からその企業が高く評価されていることになります。あくまで、相対的なものですが。

企業価値を高めるということをもう少し具体的に説明しますと、フリー・キャッシュフローを将来どれだけ生み出せるかということになります。

フリー・キャッシュフローは以下のように表されます。

<フリー・キャッシュフロー
=NOPLAT−純投資額
=[NOPLAT+減価償却費]−[純投資額+減価償却費]
=グロス・キャッシュフロー−総投資額>



この算式の中のNOPLATというのは、

<みなし税引き後営業利益(Net Operating Profits Less Adjusted Taxes>

と言われるものです。

日本はデフレから脱却できず、もがき苦しんでいます。日経平均もTOPIX(東証株価指数)もバブルがはじけてから、一向に回復のきざしが見えません。その理由の一つは企業業績が思わしくなく、株式持ち合いによる金融機関の不良債権問題が解決しないためです。
竹中金融・経済財政担当大臣を中心にしたプロジェクトチームによる不良債権処理案は大手都市銀行のトップたちから反対の意見が出され、また与党からの反発も強く暗礁に乗り上げています。

このまま不良債権問題を放置しておくと、デフレから脱却できないだけではなく、景気が回復せず、企業倒産、失業者の増大、賃金の低下、モノを作っても売れないというデフレスパイラルに陥ります。

困ったことに日本発のデフレがアメリカを直撃し、アメリカもデフレの様相を呈してきました。
25日(金)、テレビ東京系で放映されたモーニングサテライトで、アメリカの今年のクリスマス商戦は売上げが昨年を下回りそうなため、家電やおもちゃ売り場では早くも安売りが始まっていると伝えていました。

さて、日本語版に追加された1章があります。「日本企業の価値評価」というものです。
この部分が追加された理由は

<本書の原書は、企業価値評価について主にアメリカの視点で書かれている。その大部分は、日本企業にもそのまま応用できるののだが、一部は、日本の特殊な事情を考慮し修正する必要がある>

からです。

この1章の要旨をご紹介し、今回の書評を終了させていただきます。

[日本企業の価値評価]

日本の大きな問題は、

<日本の資本生産性が低いということ>です。<資本生産性の低さは日本企業の価値低下だけに止まらず、株価市場全体の低迷も引き起こしている>

ことです。

企業価値の低下がもたらす問題として下記の事柄を指摘しています。
1.低金利に加えての株価低迷により、金融資産からの投資収益で老後の生活費を賄うことが非常に難しくなってきている。
2.企業の視点に立つと、日本独特の商慣習である株式持ち合いにより、日本企業は株式の保有リスクを多大にとっているのだが、ここに減損会計等が導入されたため、株式保有が収益の下ぶれ要因となってしまっているのである。
3.年金の積立不足の問題である。現在まだ日本では、年金は確定給付型が主流だが、年金の積立不足額がかなり顕著になってきた。

次の指摘は、日本の現状を打開するヒントになるのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか?

<日本企業が現在置かれてた状況を考えると、価値創造経営は日本においてこそ最も必要な経営の舵取りの方法といえよう>



McKinsey & Company,Inc

McKinsey & Company Japan



オリジナルは →  No.155 ★★☆ 2002/10/27 Sun  企業価値評価 バリュエーション マッキンゼー・アンド・カンパニー ダイヤモンド社 2002/03/14